引越し専業を名乗る業者さんが出てきたのは1970年代です。それまでは普通の運送業者さんにお願いするか自分達で引越しするしかなかったのです。近所への引越しであれば友人や親戚中が助け合いますし、遠くの引越しは運送業者にお願いするのです。
しかし知り合いに頼むのでも、タダのようでタダではないですよね。気を使ったりお礼をしたり、挙句の果てに荷物が壊れて怪我でもしようものなら大変です。また運送業者さんの作業員は普段、工業用の荷物などを力任せに運んでいる感覚です。特に当時は宅配業という小口の荷物を運搬する業種も無かったので尚更です。ですから、そういった作業員による引越しの作業内容に不満を覚える人が多かったのです。
引越しは、普段皆さんが家族だけで暮らしているプライベート空間に作業員が入ってきます。また、全ての荷物を触られます。小物の荷造り(ダンボール詰め)まで依頼するコースなら尚更です。そんな皆さんの不安な気持ちを配慮しながら、存在する職種のなかで最も肉体的に過酷であろう運搬作業もスタッフはこなさなければなりません。
宅配や運送業の経営者が、余っているトラックとスタッフを有効利用しようと引越しのジャンルに手を出すことは多いです。しかし、クレームや破損の嵐に驚いてスタッフが引越しに熟練するまでに撤退するケースがほとんどです。 |